親からの虐待で脳が委縮し、発達障害と同じ症状を示すことが分かっています。
なので、もともとのADHDなのか識別できないこともあり、環境的原因でも発症します。
過去の悲惨な事件で、脳の体積が1/2に委縮していたという例もあります。
精神的に病む人の原因も脳に関係し、幼児期の影響が大きい。
環境的原因の虐待

身体的虐待 ー 身体的に暴力を加える
心理的虐待 ー 心理的に暴力を加える
性的虐待 ー 性的暴力を加える
ネグレクト ー 養育放棄、無視、必要なものを与えない
子ども虐待と発達障害
発達障害{注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム、知的障害}は子ども虐待に陥る確率が高い。
発達障害に限らず、虐待を受けた子どもも、連鎖で自分の子どもに繰り返すことがある。
幼児期に虐待やネグレクトを受けた子どもが、社会性の発達が障害され自閉症と似たような症状になったり、ADHDの多動性行動障害が表れることも多く、もともとのADHDなのか、虐待による多動なのか鑑別がつかないといわれます。
虐待による脳の萎縮
友田教授は、発育途上にある子どもの脳においては、虐待や体罰といったストレス負荷により、分子レベルで神経生物学的な変化が起こることを報告しています。
厳格体罰で前頭前野(感情や思考、犯罪抑制に関わっている領域)が委縮し、暴言虐待で聴覚野(スピーチ、言語、コミニケーションに重要な役割を果たす領域)が変形しDV曝露で視覚野(視覚により情報を最初にキャッチする領域)が縮小するなど明らかに脳が傷つき、その結果として従来の発達障害の基準に類似した症状を呈する場合があることを証明したのです。 発達障害を仕事に活かす 星野仁彦 P251~
虐待の後遺症
- 反応性愛着障害
愛着の形成は対人関係の基本となり、感情の動きのコントロールの基盤になる。
親との歪んだ愛着が原因で、社会性に乏しく、人間関係がうまくいかない
- 解離性障害
自分が自分である感覚がない状態
- PTSD
時間が経ってからも、ショック体験に恐怖を感じる
- 反抗挑戦性障害
人をわざと逆らって怒らせたりする行動を繰り返す
- 行為障害
非行とほぼ同じ
その他、うつ、精神疾患、自傷行為、依存症、非行や犯罪、DV、虐待
虐待の原因
発達障害
- 認知能力の欠如
子どもへの対応の技術が不足、子どもの発達の知識が不足
- 自己抑制の欠如
コントロール能力の未熟、低いストレス耐性
- 人格の問題
コミニケーションスキルが低い
- 情愛の欠如
他人の痛みが分からない
- 親にかかる負担
浮気、不倫、DV、アルコール中毒、ギャンブル、依存症、貧困
その他
- 地域の子育ての支援態勢が整っていない。
傷ついた脳
発達段階で虐待による心に受けた傷は、容易に癒されません。
小児期に激しい虐待を受けると脳の一部がうまく発達できなくなってしまう。
そうして脳に傷を負ってしまった子どもたちは、成人になってからも精神的なトラブルで悲惨な人生送ることになる。P42~
極端で長期的な被虐待ストレスは、子どもの脳をつくり替え、さまざまな反社会的な行動を起こすように導いていく。P57~
子ども虐待への新たなケア 杉山登志郎(編著)
回復
適切な心理治療として、トラウマの治療や認知行動療法があります。
脳の成長のピークは12歳といわれ、その後老化の一途を迎え30歳を過ぎると急激に下がることから、この時期までに少しでも早い治療をするとよいといわれます。
まとめ
虐待は、子どもにとってその時の不幸だけで終わりません。
人間関係もむずかしくなり、その後も生きずらさをかかえやすくなります。
虐待による被害は、うつや依存症など、寿命も短くなるということも分かっています。
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