「自己肯定感」ほど、人生を左右し重要度が高いものはないといいます。
人間関係が希薄になりがちな現代において、自己肯定感をもちにくい時代であるのかもしれません。
毒親や機能不全家族、アダルトチルドレンという言葉も浸透し、その根底には自己肯定感の欠落にあります。
恋愛や結婚においても自己肯定感なくして成り立たず、心の病である依存症の回復にもまた然りです。
しかし、「自己肯定感」という実態自体つかみにくく、強い人=高い とは結びつかず、深層にある自己の評価は意外にも違うことがあります。
(我)強い人は、人との対立(失敗)があり自己評価が低いことが多だあります。(いじめ、パワハラ、ワンマン経営者)
自己肯定感が高い人とは、字の意味する通り、様々な否定感情が極力少ない人のことです。
自己肯定感

自己肯定感とは、元々が無の状態を100として減点方式である。(遺伝以外)
初めから自己を卑下したり自信がない人はいないからです。
なので「自己肯定感を上げる」ではなく、正しくは「自己肯定感を回復する」ではないか。
また自己肯定感が高いのには、大きく分けて2通りがある。
一つは、人格形成時期に自己肯定感の高い親に育てられた。
もう一つは、失った自己肯定感をその後、自身の修練によって多く取り戻した。(回復)
様々な否定感情
否定自体は、守る、戦う際の不可欠な考え方であって悪いことではありません。
しかし日頃この感情が多ければ、人社会においてマイナスに作用します。
不安、不満、嫉妬、後悔、怒り、失望(負の感情)。
嫌い、ダメ、違う、べき、といった否定的な言葉をよく使う、決めつける、馬鹿にする、見下す、責める他。
こちらの記事もご覧ください→思考の歪みである不安の解消の方法には、認知行動療法がある
自己の感情に向き合う内観
人は様々な状況の際、一日のうちにも幾度となく感情が動いています。
美しい景色を見た、好きな音楽に触れた、人に励まされた、共感を得た際。
また、態度の悪い人に遭遇した、中傷を受けた、仕事の不都合、嫌な出来事を回想した際など。
自己肯定感が低いほど、否定の感情が多い傾向にあります。
しかしその際、否定をせずなぜそのような感情になるかを自分に問いていきます。偽りのない答えが返ってきます。
深く掘り下げていくほど、認めたくない事実も含め、自分をよく知ることになります。(内観)
このことは、意識をしていないだけで実は既に誰もがしていることです。日々選択、決断の連続でその際に自らと対話をしています。
「行動しようか…」→「今その時期ではない」or「今しかない」
「相手に言おうかどうか…」→「相手がどうでるか分からない」or「いや言うべきだ」というように。
自己肯定感の回復
日頃から、否定感情が多いと幸福感を感じにくい。
希望を持てない、やる気がでない、怒りやすい、人を好きになれない、信じられないなどです。
しかし、自己を内観し自身の負の感情にとことん向き合っていくことで、気付いてくることがあります。
負の感情を抱く人や出来事に、自己の感情を結びつけている。
イライラする、不快になる、腹を立てる、落ち込む、不安になる、嫉妬するなどの感情です。
負の感情を抱く人や出来事には、事実として認識するだけでいい。
俯瞰して捉える ということです。これは感情を抑えることとは違います。
(どうしても許せない相手には、そうせざる得ない見えないその人の背景、事情があると考える)
負の感情は、マイナスエネルギー(毒)で疲弊していきます。毎回、感情移入し疲れることをしていたわけです。
自己肯定感の高い人は、負のことに線引をし容易に感情を揺さぶられない。動揺せず影響を受けにくい。
また、ダメな自分の部分もよし と認められることです。自分のことや他人のことも容認でき、完璧主義ではないといえます。よって常に安定しています。
自分に向き合う効果
効果を少しでも実感できるようになると、変化があらわれてきます。
怒らなくなる、人の嫌いがなくなる → 人を好きになる。
(否定感情が薄まってくると、人の欠点より良い面が必然的にクローズアップされる)
その相乗効果で、感謝できる、優しくなる、楽しくなる、前向きになる、積極的になる、など。
そうはいっても時に感情が高まることはあります。その時は感情を上手く開放することが大切です。
その先にある自信
仕事の成功やお金があることは、自信の一部でしかありません。
また、自己を肯定できても、自信も伴わなければ人との関係で実を結びにくい。
自己肯定感が高い、自信がある、とはどう違うのでしょうか。
評価と経験(実績)の違いです。
自己肯定感 → 自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意識を肯定できる感情などを意味する語。実用日本語表現辞典
自信 → 自分の才能・価値を信じること。自分自身を信じる心。 三省堂大辞林
自己肯定感とは、人間関係の源である親との関係で育まれます。
(家族との関係を築けなかった場合、自己肯定感を持ちにくい傾向があります)
自信とは、過去の経験に基づいて備わっていくもので、単に自分を信じることでは難しい。
つまり、自信とは、自己の内面と向き合うだけではなく、人との関わりの過程で構築されていきます。
感謝されたり、認められたり、励まされたり、共感したり、こうした経験の積み重ねが意欲となり自身へと結びついていきます。

自信のもとは親
子供に自信を与えられない親は否定感情が多い。いわゆる毒親です。
無関心や放置、指示や縛り、強制が多い過干渉の親も含まれます。子供を 一人の人として認めていない、否定という意味で同じです。
こうした親も機能不全家族であったことが多く、負の感情は気づかずにいるとそのまま引き継がれやすい。(アダルトチルドレン)
自己肯定感を回復するために、自己を見つめていく内観が今、認められています。
こちらの記事もご覧ください→機能不全家族はなぜ繰り返されるか 依存が隠れる大人の愛着障害とは
まとめ
自分の人格は自分のものであるはずなのに思うようにならない。低い自己肯定感は、人生に大きく影響を与えます。
脳が形づくられる時期の養育環境、つまり親の思考習慣や家庭の不和などに関係していることがあります。
だとしたなら、これまでの思考習慣を見つめ、自分にも他者にも愛をもって接していくことです。
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