人は自分にないものを手に入れたとき、幸せを感じやすい。
その最たる例に、男女の関係があります。また、初めて手にすることや体験することなど多くは新しいことです。
娯楽(旅行)や情報も、新しいものを求めることのほうが多く、趣味も、その中で新しい種類が増えていったりします。
新しいことには喜びや感動、刺激や興奮があり、楽しいと感じるからです。
恋愛や結婚、子供の誕生も含め同じことがいえます。新婚、新恋人、新生児の新も「新しい」です。
付き合い当初や新婚時代は、互いを新しく知ることが多く何もかも新鮮で楽しいと感じます。
が、そうした感情も時が経つにつれ慣れていき、また長い間には状況も変化していきます。
新しく楽しい時間は、全体の時間から比べて短い時間です。
なので、幸せは、自ら求め営む日常の瞬間(短い時間)にある。
幸せ、幸福の理由

幸せは、括り(全体)として考えると感じにくいのではないでしょうか。
辛いことや困難なことも起こる人生を、幸せと認識しにくい。
それは、長い人生の時間から幸せの時間を対比しているようなものだからです。
また、幸せは歳を重ねて減少していくと思われがちですが、その人の幸せを感じる能力ではないでしょうか。
無意識である場合もそうですが、自由に選択、行動できることを喜びに思う人は、前向き、積極的に行動します。
些細なことや当たり前のことを大切に思える人は、大いに楽しみ、感謝できます。
幸せは、単調な生活の中に楽しさを見いだせることです。
退屈は、道徳家にとってきわめて重要な問題である。というのも、人類の罪の少なくとも半分は、退屈を恐れることに起因しているからだ。中略「だから、退屈に耐える力をある程度もっていることは、幸福な生活にとって不可欠」であるとラッセルは主張している。世界の哲学50の名著 幸福論 バートランド・ラッセル p391
不幸の原因
不幸と思うのは、幸せ自体を取り違えているのではないか。
幸せを過大イメージしていたり、人と比べ自分にはない、出来ないと制限していたりです。
また、不幸とは捉われることにある。
例えば、子どもが誕生したとき、親は感動に溢れ幸せを強く感じます。そして元気に育ってくれればいいとだけ願う。
しかし子どもの成長と共に、親は次第に自分の理想を子どもに押し付け始める。子どもは親の思うように育たないので葛藤が生まれる。
夫婦なら互いに自分の考えを通そうとするほど諍いが増えていく、職場や社会での人間関係も同じく、己に捉われるとうまくいかなくなる。
不幸は意識と無意識、あるいは自己と社会の間の統合の欠如に原因があるとラッセルは指摘している。 幸福な人とは、こうした統一のどちらも失敗していない人のことである。自分の人格が内部で分裂してもいないし、世間と対立もしていない人のことである。 世界の哲学50の名著 幸福論 バートランド・ラッセル p393
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不幸から幸福へ
例えば、人が立ち直る、逆境を乗り越えるときというのは、過去の失敗や不幸、環境や出来事、事実を認められたときだと思うのです。
人はなかなか自分の間違いに気付けなかったり、または恥じたり思い出したくなかったり、あるいは環境や人のせいにしがちです。
実際にそうである場合も、そのままでは状況は変わりません。辛い作業でも、過去の自分に向き合いあきらめられたとき、人は変われる。
過去は、そのときの自分にとってベストだった。それがあるから今の自分がある、そう思えたとき過去の自分を受け入れられるのではないでしょうか。
なかでも重要なのは、努力とあきらめの間の「中庸」である。中略 たくさんのことをあきらめれば、われわれは重要なこと、そして本当に影響を与えられることに集中できる。 世界の哲学50の名著 幸福論 バートランド・ラッセル p393
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幸せとは幻想
言葉も物もない時代に、幸福も不幸も考えることなく生と死が繰り返されてきました。
そもそも作られた、存在しない概念(言葉)に人は捉われ悩む。
自分が純粋に独立した存在だと信じるのはまちがいであり、不幸の源である。なぜならば、望ましくない孤立感と、まるで実際に存在するもののように自己にこだわることは、あらゆる不安な考えを生じさせるからだ。孤立した存在という幻想を幻想だと認められたとき、人は喜びを感じずにはいられないだろう。 世界の哲学50の名著 幸福論 バートランド・ラッセル p394
まとめ
人は幸せを求め、自分にないものを永遠に追い続けていく。
しかし幸せは身近にあった、日常の生活の当たり前のことに満足することで得られる。
さらにいえば、生きていること自体幸せであるのかもしれません。なぜなら、存在していること自体が奇跡であるのだから。
どちらにしても、幸せを大きくイメージするほど遠のいていく。
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